ふくめん調理人
<第二回>料理盛りつけの条件(日本料理の場合)
2005-07-20
(四)料理の盛りつけ時の味について
盛りつけに味は関係がないように思われるでしょうが、ここで云う味とは、おいしそうに見せる盛りつけの色や形のことではありません。
もちろん、見た目の味(おいしそうに見せる)も大切なことですが、そのことはちょっと横に置いておいて・・・。
上記の見た目の「青(緑)見」ではなくて、「青味」についてです。
つまり、口直しや脇役の意味を持つ「味」のことで、必ず青(緑)色ということでもありません。
たとえば、豚の角煮に絹サヤが盛ってあったり、刺身の盛り合わせの横に、ミョウガの薄切りや貝割れ菜があります。また、盛り合わせ天ぷらの中のシシトウやオクラ、大葉やショウガなどもこれに当たります。
主な素材として用いるか、口直しなのか、脇役なのかにおいても調理法は異なりますが、調理人は、日々、真心を持っていろいろ工夫し、仕事に向かいます。
(五)料理盛りつけ時の掻敷について。
お料理の下に引くものを「掻敷」と言いますが、これには、「掻敷」「皆敷」「改敷」と三種の書き方があります。
この由来について調べたことがありますが、ついに、そのルーツは分かりませんでした。
料理人という職種が生まれてからの文化で、専門用語なのかもしれません。
今日の料理人が、この「掻敷」をどのように考え、どのように用いているかを記してみようと思います。
日本には、季節ばかりではなく文化にも四季があります。俳句には季語、生け花、もちろん料理にも・・・。
掻敷は、季節や時節、祝い事を表す大きな要素のひとつでもあるのです。
春なら笹の葉の新芽若葉。夏になれば青もみじや柏の葉。秋は菊の葉に紅葉もみじ。冬は寒椿、山茶花の葉。祝い事なら南天の葉という具合で限りはありません。
二月ならば、梅の「小枝を一輪」。これも立派な掻敷なのです。葉物ばかりが「掻敷」というわけではありません。
天ぷらの敷き紙も同じで、時節に合わせ、「かぶと」に折ったり、「鶴」や「白鳥」に折って用いることもあります。お客様の中で、一人でも二人でも、このことに何かを感じて下されば、料理人の喜びこの上なしです。
*注1 掻敷を用いて、料理を盛ったとき、その料理の下方に、掻敷の「すそ」が見えてはな りません。「下(舌)を出す」といって、とても失礼なこととされています。
*注2 器に「食せないものを盛ってはいけない」とする料理の考え方もありますが、私は、そうとばかりは言えないと考えていますし、どちらが正しいとも思いません。読者諸氏 はいかがでしょうか。
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