2012/02/17

cooking1

お料理なるほど講座
ふくめん調理人

<第一回>料理盛りつけの条件(日本料理の場合)
2005-07-20


(一)料理の盛りつけは、基本的に山水画の世界。つまり遠近法と立体を基本としております。
 奥のものは高く大きく、手前のものは低く小さく・・・。
 何の世界にも相通ずるところがあると思います、
 しかしながら、器に盛りつけるとき、細長いもの、薄いものもありますので、あくまでも原則的にではあります。

(二)料理盛りつけの色について
 私は栄養士ではありませんので、色と栄養素については詳しくありません。
 あくまでも料理上、黒豆や昆布のように、黒いものはより黒く、青いものはより青く、白いものは白く、素材の持つ自然な色を用いるのがよろしいと思います。
 しかし、擂り身に色を混ぜ、見立ての食材(花鳥風月等)を造ったり、百合根をピンクに染めて桜の花びらに見立てたり、烏賊(いか)を卵黄焼きにして、銀杏(いちょう)の葉に見立てたりと、原材料の色ではなく、見立てるものの色を付ける場合もありますので、自然色が絶対というわけではありません。

(三)料理盛りつけの数(個数)について
 丼物に添えられる小皿に盛られた二切れの沢庵は、見慣れたところでしょう。
 今日では、いろいろの香の物(漬け物)が使われるようですが、この「二切れ」、いわれがありまして、一切れだと、「人切り」と武士が忌み嫌い、三切れだと、「身を切る」と忌み嫌われ、落ち着いたところが「二切れ」であったという説があります。お茶請けの羊羹(ようかん)二切れというのも、その名残なのでしょうか。

 昔から和食の世界では、七・五・三の「数」を大切にしてきました。
 特に複数の食材を盛るとき。たとえば刺身の盛り合わせなどは、代表的には、赤身(マグロ)を三切れ。
 これは、前記の沢庵の話と異なります。
 それでも、七・五・三を大事にしている和食では、赤身が三切れ、白身を二切れ、これで「五」とします。
 それに、帆立貝でも二切れ加えましょうかな。これで「七」です。
 このように、数種類の食材を盛り合わせる場合は、さほど考えなくても宜しいようです。
 ともあれ、私も料理人として盛りつけを行うとき、七・五・三というのが、落ち着きも良く。安定感もあり、見た目にも違和感がないことは確かです。

*次回は、料理盛りつけ時の「味について」、「掻敷(かいしき)について」、できれば「季節について」連載を続けます。

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